8時間ダイエット+筋トレの組み合わせは肉体作りに最強なのでは?説
「健康に痩せるなら2〜3時間おきに食事をすべし!」などとかつては言われたものですが、それもいまや昔の話。わりと精度が高いメタ分析により、
- 細かく食事をしても、結局のところ、摂取カロリーが同じなら体重の減り方は変わらない
- いくら細かく食事を分けたところで、体脂肪や筋肉量にも影響はない
などと報告されております。「食事を細かくすると代謝が上がるから、体脂肪が落ちやすくなる」って考え方から生まれた食事法だったんですけど、支持する証拠はない感じなんすよね。
ってことで、近ごろよく言われるのがプチ断食の手法です。このブログはもちろん「不老長寿メソッド」でも取り上げているおなじみの方法っすね。最近は「間欠的ファスティング」なんて言い方もしますけど、要するに「1日は超えないレベルで行うゆるい断食」のことです。
その中でも、フィットネスの世界で人気なのが「8時間ダイエット」と呼ばれる手法で、1日のうち16時間ほど絶食して、残りの8時間は好きなだけ食べるって食事パターンっすね。俗にリーンゲインズとも呼ばれてまして、なんせ他の手法よりも取り組みやすいんで、肉体作りや健康のために取り入れる人が多いんすよね。
で、そこで悩ましいのが「8時間ダイエットと筋トレの組み合わせってどうなの?」って問題であります。当然ながら、プチ断食では一時的にガッツリと空腹の時間を作る食事法なので、その期間は筋肉量も増えづらくなるはずだし、逆に体脂肪が増えやすくなったりはしないのか?という疑問っすね。
もし筋トレへの悪影響が強いのであれば、肉体作りを目指す人にとってプチ断食は良い手法とは言えなくなりますからね。筋トレ好きな私としても気になる問題なわけです。
といったところで、イランのゴンディシャプール大学などのチームが良いメタ分析を行いまして(R)、「8時間ダイエットは筋トレに悪いのか?」をチェックしてくれておりました。
今回のメタ分析は、2021年2月までに発表されたプチ断食研究から、221名の参加者を含む8件の研究をピックアップ。ランダム効果モデルを使って、
- プチ断食+筋トレ
- 標準的な食事+筋トレ
の2パターンを比べ、筋肉や体脂肪の量に与える変化を評価しております。その結果の重要ポイントだけをざっくりまとめてみると、
- プチ断食+筋トレは、除脂肪体重(≒筋肉)に悪影響を与えない(つまりプチ断食をしながら筋トレをしても、別に筋肉が増えにくくなるとか、筋肉が減るようなことはない)
- それどころか、プチ断食+筋トレを組み合わせた方がより大きな体重減少と脂肪減少が見込める(おそらく間接的に摂取カロリーが減りやすくなるからだと思われる)
みたいになります。プチ断食+筋トレは体作りによくないどころか、体脂肪をよりスピーディに落として、バキバキの体を作る役に立つ可能性のほうが大きいのではないか、と。こりゃうれしい結論っすね。
ただし、もちろんここには重要な注意点がありまして、
- 8時間ダイエット+筋トレの組み合わせは、タンパク質を十分に摂取している限り、筋力と筋肉量アップの向上をサポートできない
みたいな傾向も見られますので、ここらへんは必ず心に留めておいてくださいませ。具体的には、
- タンパク質が体重1kgあたり1.6gを下回ると、筋肉量の維持に悪影響が出てしまう狩野氏がある(Tinsley 2017)
- 体重1kgあたり1.6g以上のタンパク質は、プチ断食と非常に相性が良いと思われる(Stratton 2020)
みたいな感じになってますのでご注意を。体重1kgあたり1.6g以上のタンパク質ってのは、「不老長寿メソッド」でも強調したポイントですね。
また、これはあくまで8時間ダイエットにフォーカスした調査ですんで、5:2ダイエットや日替わり断食のような、より集中的なプロトコルと筋トレを組み合わせた際の効果についてはまだ謎です。こちらも合わせてご注意ください。
が、とりあえず8時間ダイエットは筋トレと相性が良さそうですよ〜ってことで、私としては今後も同じやり方を続けていくつもりであります。どうぞよしなに。