カフェインで髪が生える!? ただし期待しすぎ注意!というメタ分析の話
育毛に役立つものはミノキシジルとフィナステリドの2つしかないというのが現在の定説なわけですが、近年もいろいろと研究が進んではいるわけです。
そんななか、新たに出てきたのが「カフェインを頭皮に塗ると髪が生えるかも?」という研究(R)で、「ちょっとだけ見込みがあるかもなー」みたいな気がしております。
ここで取り上げるのは、9本の臨床試験をまとめたシステマティックレビューでして、研究の内訳を書いておくと、
- 参加者数:684人(男性が多め)
- 対象:脱毛に悩む成人(詳細な年齢は不明)
- 試験期間:2〜6ヶ月
- 実験の内容:
カフェインを単独で頭皮に塗る→ 4本の研究(うち2本はランダム化比較試験)
カフェイン+他の成分を組み合わせた製品を塗る → 5本の研究(例:亜鉛PCA、アデノシン、各種植物エキスなど)
みたいになってます。純粋に「カフェインだけの効果」を見た研究は意外と少なくて、けっこういろんな成分をごちゃ混ぜに使ってるあたりが、ちょっと解釈を難しくしてますねー。
これらの実験ではだいたい「実際に髪が増えたか」「太くなったか」「見た目でわかるか」「本人が満足しているか」といった視点から効果がチェックされてまして、結果は以下のようになりました。
- 9本すべての研究で、髪の本数や太さが改善したと報告された!
ってことで、これを見たときは「あれ?カフェインってもしかしていけてる?」とか思ったんですが、よくチェックしたら論文の質が全体的にイマイチなのが残念でありました。
具体的に文献の質がどんな感じだったかと言いますと、
- 中程度の質:3本
- 低い質:1本
- すごく低い質:5本
って感じでして、まともなデータと言えるのは9本中3本だけなんですよね。しかも、その中程度の質とされた研究も、プラセボ対照群がなかったり、カフェイン以外の成分(アデノシンなど)も入っていたりして、カフェイン単体の効果を厳密に検証したわけじゃないんですよね。
要するに、「髪が生えたのはカフェインのおかげかもしれないけど、他の成分のおかげかもしれないし、自然な回復かもしれない」みたいに解釈するしかなく、ここらへんがどうにも悩ましいんですよねぇ。
ただ、過去の研究も合わせてみると、「カフェインが育毛に良さそうだ」と思える点もあったりはします。具体的には、
- 血流促進効果:カフェインは血管拡張を促す作用があり、頭皮の血流を改善することで、毛根に栄養が届きやすくなる……かもしれないと考えられている。
- 毛母細胞の活性化: いくつかの細胞実験では、カフェインが毛母細胞(髪を作る細胞)の増殖をサポートする可能性が示されている。
- 男性ホルモン(DHT)ブロック効果: 男性型脱毛症(AGA)の主要因とされるジヒドロテストステロン(DHT)の作用を一部抑える働きもカフェインにはあるかも………と言われている。
みたいになります。どれも「かもしれない」ってレベルではありますが、カフェインが育毛に効くって考え方は、まったく根も葉もないわけじゃないんですよ。実際に「人間の頭皮で同じように効くのか?」は別問題なので、慎重に見たほうがいいのが前提にはなりますが。
ということで、ここまでの話を整理すると、
- カフェインの育毛効果には可能性があるが、現時点ではエビデンスが弱い
- しかも効果があってもたぶん「地味な変化」レベル
という感じになりましょう。とはいえ、カフェイン入りシャンプーやローションを使うこと自体に大きなリスクはなさそうなので、「試してダメならそれでよし!効いたらラッキー!」くらいの軽い気持ちで導入するのは全然アリだと思います。特に、「他の育毛剤はちょっと成分が強そうで不安……」みたいな方には、カフェイン製品は良い代理品になるかもですな。
ちなみに、市販品だと「Alpecin(アルペシン)」とかが有名っすね。これはドイツ製のカフェインシャンプーで、ヨーロッパではけっこうポピュラーだったりします。あとは「KUNDALカフェインスカルプシャンプー」とかも良い候補になるでしょう。
ちなみに、もしカフェイン製品を使うなら、あわせて以下のポイントも意識してくださいませ。
- 頭皮マッサージ → 血流促進効果をさらにサポートできるかも
- 栄養素の補給 → ビオチン、亜鉛、ビタミンDあたりは、不足すると脱毛が起きやすくなるので、ここらへんは鉄板
こんな感じで、カフェインだけに頼るのではなく、*頭皮の環境全体を底上げする気持ちでやったほうが、最終的な成果に繋がりやすいんじゃないかと。今回のメタ分析を見て、私もカフェイン入りシャンプーを試してみてくなったんで、そのうち経過レポートなどをするかもしれません。どうぞよしなに。