良い習慣を身につけるのに欠かせない要素、それは「退屈感」
「目標を達成するには習慣が大事だよ!」ってのは間違いないわけです。運動や勉強がオート化されれば、なにも考えなくてもゴールに向かっていけるわけですからねぇ。
ってことで、何かを達成したけりゃ習慣化するのがベストなわけですが、「習慣がジャマになるケースもあるから気をつけや!」っておもしろい論文(1)が出ておりました。
これはミシガン州立大学などの論文で、279人の男女を対象にしております。どんな実験かと言いますと、
- 特定の時間(13:00〜14:00とか)になにをしてたかを細かく記録してもらう(勉強でも運動でもなんでもいい)
- 日記に記録した行動に対して「どんな感情を持ちましたか?」を採点。ポジティブとネガティブに選り分ける
って感じです。パッと見は目的がわかりにくい実験ですが、簡単に言えば「習慣になってる行動」と「習慣になってない行動」をくらべたときに、当人はどのような感情で動いてるのかをチェックしたわけっすね。
それでなにがわかったかと言うと、
- 習慣化してる行動をとってるとき、人間はなにも感じていない(特に自尊心を感じない傾向が強い)
だったそうな。勉強や運動が習慣化してる人は、その行動から何の喜びも辛さも感じてないんだ、と。
まぁこれは言われなくても当然の話で、行動がオート化してるんだったら、そもそも特定の感情がわくはずもありませんからねぇ。習慣化ってのは無感情とセットなわけですな。
が、研究者が問題にしてるのはそこでして、
「反復」にはさまざまな影響がある。ひとつは、行動をうながす記憶の回路を強化し、習慣をより実行しやすくする作用だ。
もうひとつは、私たちの感情的な反応を弱くする作用。そのせいで習慣には退屈がともない、かつてのような刺激をあたえてくれなくなる
つまり、習慣化された行動を多く取る人は、ほどなく感情的な喜びを得られなくなり、少しずつその行動をしなくなっていくだろう。
とのこと。要するに、なにかをくり返し行えば確実に習慣にはなるんだけど、それと同時に喜びも減っていくんで、そのせいでせっかく身についた行動がとぎれてしまうかかもしれないんだ、と。
もちろん、これは「歯みがき」みたいに難易度が低いタスクなら問題ないわけですが、勉強や運動みたいに複雑な目標の場合は、習慣化したせいで逆に続かなくなるケースもありえるわけっすね。わたしも英語の勉強がたまにプッツリとぎれることがあるんで、なんかわかるなー、という。
このような現象を、研究チームは「習慣の二重法則」と呼んでおります。そう考えると、いったん習慣が身についたと思っても油断はできませんなぁ。
ただ、これで思ったのは「退屈」って習慣化のバロメーターとして使えるなぁってことですね。退屈感は習慣が身についてきた証拠なんで、「楽しさ」や「辛さ」を感じてるうちはまだまだ行動がオート化されてない証拠だと言えましょう。
いっぽうで、「退屈化」は「習慣化」の前提条件なので、簡単に切り離せないのも確かではあります。つまり、
- 習慣化したいことがあったら、とりあえず退屈になるまで反復する
- 退屈になってきたら「習慣化」の第一段階はクリア
- そのあとは、退屈感を消すべく新たな要素を取り入れる
って感じでしょうか。たとえば、筋トレに退屈したら違うテクニックを取り入れてみるとか、はたまたHIIT-WBのような違う手法に切り替えてみたりとか。または一緒にうん素堂する仲間を見つけてみるのもありでしょうな。
とにかく、習慣化においては「退屈」と「楽しさ」のバランスをちょうどよく取り続けるのが大事っぽい。意外と見過ごされがちなポイントかもですねー。