筋肉を鍛えると体は固くなるのか？
筋肉と体の柔軟性の関係について、面白いご質問をいただきました。内容を抜粋しますと、
私が通うジムにもガンガン筋トレに励む方々がたくさんいらっしゃいます。主に男性が多いのですがその方々を見ていて気になることがひとつあります。
「筋トレをガンガンしてる方（特に男性）は、体が固い人がやたらと多い」ということ。ストレッチコーナーにいらした細マッチョなおにいさんは前屈で手が足先に全く届いていないとか、ヨガプログラムで隣になったマッチョなおじさまはデブな私よりもポーズが取れない上に、バランスも悪くヨロヨロフラフラしているとか、そんな方々を良くみかけます。
（中略）
スズキさまは筋トレと柔軟性についてはどうお考えですか？（個人的に「筋肉つけると体が固くなる」は全く信じていません、だったら体操選手はどーなのよ、ということですから）
とのこと。確かに「筋トレをすると体が固くなる！」なんて説もありますし、筋トレと柔軟性の関係は気になるところです。
で、ここで参考になるのが、2011年の研究(1)。まさに筋トレと柔軟性の関係を調べた論文でして、参加者を以下の３つにわけたんですね。
- 筋トレだけをやるグループ
- ストレッチだけをやるグループ
- 何もしないグループ
すると、５週間後に体の柔軟性を調べたところ、結果は下のグラフのようになりました。RTが筋トレグループ、SSがストレッチグループ、Conが何もしないグループになっております。
ご覧のとおり、筋トレとストレッチには、ほとんど差は出ませんでした。どころか、筋トレグループのほうが、ちょっとだけ柔軟性がアップしていたぐらい。研究者いわく、
この結果は、
正しいフォームを守って、フルレンジ（筋肉を完全に曲げ伸ばしする）で筋トレを行えば、ストレッチと同じか、それ以上に柔軟性はアップする
ことを示している。
他の研究(2,3)でも、やっぱり「筋トレは柔軟性を上げる！」って結論が出てまして、質問者さんがおっしゃる「『筋肉つけると体が固くなる』は全く信じていません」との見方は正しいと考えてよさそうです。
「筋トレをしてる方は体が固い人がやたらと多い」といった印象があるのは、間違ったフォームで筋トレをしているせいで、柔軟性と体幹が十分に発達していない人が多いからなのかもですねぇ。
credit: khalid almasoud via FindCC
