顔と行動を見ただけで相手の性格を一発で見抜く!そういう人は実在するのか?問題
「外見だけで他人をどこまで見抜けるか?」ってのは昔から心理学の大きなテーマですが、なかなか意見がわかれてるわけです。
たとえば、相手の表情でウソを見抜くのって無理じゃない?みたいな話があるいっぽうで、一部の性格は顔を見るだけでわかったりとか。なかなかややこしいもんですな。
といった状況下、新しい論文(1)では「この世には他人の性格を特別に読むのがうまい人は実在するのか?」って問題をあらためて調べてくれてておもしろいです。要するに、他人の顔や行動を見ただけで相手の性格を見抜いちゃうホームズみたいな人はいるのか?って疑問ですな。
これはテネシー大学などの実験で、数千人の学生を以下の2グループに分けております。
- 見知らぬ人と3分だけ会話する
- 見知らぬ人がしゃべってる姿を3分だけ見る
そのうえで「見知らぬ人の性格を判断してください」と指示したんだそうな。「見知らぬ人」の性格については、事前に性格テストと第三者へのインタビューを行い、正確なところを把握しております。
続いて、すべてのデータをまとめて比べたところ、
- 確かに、平均よりも他人の性格を見抜くのがうまい人は存在する!
って結論だったんですな。研究チームいわく、
どのデータでも一貫して、「他人を見抜くのがうまい人」が実在することを明確に示していた。これは強いエビデンスだ。
ってことで、どうやら顔と行動だけで相手を正確に判断できる人が一定数は存在しているらしい。うーん、意外。
ただし、これには大きな注意点がありまして、研究者はこうも申しておられます。
もっとも、他人の性格を見抜くのがうまい人の能力は、「良いターゲット」に対してのみ発揮される。つまり、他人の性格を見抜く能力とは、決して魔法のような能力ではない。シャーロック・ホームズのような人間が実在するわけではないのだ。
ここでいう「良いターゲット」とは、自分のキャラクターに沿った感情表現などをする人のことです。いわゆる「わかりやすいタイプ」のことでして、そのような相手でない限りは、どんなに他人を見抜くのがうまい人でも能力を発揮できないのではないか、と。
この現象は、たとえばAmazonで微積分の新しい本を買うべきかどうかを判断するのに似ている。もしその本のサンプルが公開されていなければ、どんなに優秀な微積分の教師だろうが、微積が苦手な学生と同じレベルでしか本の質を判断できない。しかし、少しでもサンプルのチャプターが公開されていれば、一気に教師の判断力は上がるだろう。
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 他人の性格を見抜くのがうまい人は存在する
- ただし、その能力は「チョロい相手」でないと発揮されない
みたいなことですな。なるほどねぇ。もちろん、これは一般的な性格の話なんで、サイコパスやナルシストではまた別の傾向も出てますんでご留意ください。