野菜を先に食べれば痩せる？「食べ順ダイエット」には意味があるのか？問題

Salad

「食べ順ダイエット」ってあるじゃないですか。炭水化物じゃなくて野菜や肉を先に食べれば、インスリンの分泌が少なくなり、そのおかげで痩せるんだって話ですな。

ただ、個人的にはこの話は怪しいと思ってて、そもそもインスリンが肥満の原因だって証拠がないですし、それどころか食べ過ぎを抑えるありがたいホルモンだって考え方もあるぐらいなんで。

そんなわけで、私は「食べ順ダイエット」を支持しないわけですが、ただし”一部の人”の健康維持には役立つかも？って可能性は残されてたりします。食べ順を変えれば血糖レベルも変わるのは間違いないんで、そこらへんが意味を持つケースはあるのではないか、と。

ってことで、「食べ順と健康」の問題を調べてくれた論文(1)が新たに出ておりました。これはウェイル・コーネル・メディカル大学の研究で、30〜65歳の男女15人を対象にしております。

どういう基準で参加者を選んだかと言いますと、

って感じ。つまり、中年から初老になって体型が崩れてきて、体が糖質をコントロールする能力が衰えた人であれば、食べ順にも意味があるのではないか？と研究チームは考えたわけです。

実験では全員に同じ食事をあたえまして、3大栄養素のバランスはこんな感じ。

このうちパンが90gで、チキンが100g、オリーブオイルが15g、残りは野菜とスパイスって構成。総カロリーは1日2417.64kcalになっております。

でもって、この食事を以下の3パターンで食べたらどうなるかをみたんですな。

実験デザインはクロスオーバーで、すべての参加者が全パターンの食事法を3日ずつ実践。それぞれ1週間の休止期間をおいてから、別の食事法に挑んでおります。

そこでどのような結果が出たかと言いますと、

血糖値については、パンを最初に食べると食後60分で数値が爆上がりし（8mmol/Lぐらい）、その後180分で激下がりする（4mmol/Lぐらい）。いっぽうで「野菜ファースト」と「タンパク質＆野菜ファースト」は、食後180分まで数字が安定し続けた（6mmol/Lぐらい）

インスリンについては、やはりパンを最初に食べると食後60分で数値が爆上がりし（1100pmol/Lぐらい）、その後180分で激下がりする（300pmol/Lぐらい）。いっぽうで「野菜ファースト」と「タンパク質＆野菜ファースト」は、食後180分まで数字が安定し続けた（450pmol/Lぐらい）

って感じで、予想どおり野菜やタンパク質を先にしたほうが、明らかに数字が安定しております。研究者いわく、

今回の研究は、食べ物の順番を変えることにより、まったく同じ食事をしていても、グルコースとインスリンの代謝に大きな影響があることがわかった。

ってことで、あくまで過体重または糖尿ぎみの方に限った話ですが、どうも食べ順にはメリットがあるっぽい。これが普通体型の人にも当てはまるかは謎ながら、ムダに血糖値を乱高下させたくない人は試してみるのも手かもですな。

あと、余談ですが、このデータを見て「あー、もしかしたら『食べ順ダイエット』って意外と痩せる効果があるのかも」と思ったりもしました。

というと「最初に言ってたことと違うじゃん！」と思うかもですが、もちろん「インスリンの分泌がうんぬん」みたいな話とは関係がなくて、

という意味です。

当ブログでは、デブになっちゃう原因として昔から「食事報酬」ってのを重要視してまして、くわしくは「なぜ人は食べすぎてしまうのか？」などをご参照ください。すごーくざっくり言えば「うまいものは脳が興奮するから食べ過ぎちゃうよねー」という当たり前の話です。

一般的に、食事報酬ってのはバリエーションが豊富なほど暴走する傾向があるんですが、野菜→タンパク質→糖質の順番に食べれば、自然と食品の多様性を絞り込むことになりますからねぇ。

その意味で、やはり「食べ順ダイエット」には自然と摂取カロリーを減らす作用があるのではないかと思う次第です。外食時にカロリーを減らすために試してみるのもいいかもっすねー。

ページ