「何もやる気が起きない……」精神疲労に立ち向かう4つの戦略
精神疲労は思ったよりもヤバい?
メンタルが疲れると運動のパフォーマンスが落ちる!ってのは、誰に言われずとも理解してるとこでしょう。頭を使う仕事でぐったり疲れたら、そもそも運動なんてやる気がしませんからね。
なんだけど、ここんとこ「精神疲労と運動」に関する研究が増えてまして(1)、思った以上にメンタルの疲れはヤバいってのがわかってたりするんですな。
たとえばウェールズ大学が16人のサイクリストを対象にした実験(2)だと、参加者を2つのグループにわけていて、
- 90分ほどコンピューターで頭を使う作業をする
- 90分ほど自然のドキュメンタリー映像を見る
って感じに調整。そのあとでエアロバイクをこいでもらったら、頭脳作業をしたグループは「いつもよりツラい!」と言い出す確率が高くなり、ドキュメンタリーグループより15%も早くギブアップしちゃったそうな。
90分の精神疲労のダメージはボックスジャンプ100回分
この「15%の疲労感」ってのがどれぐらいパフォーマンスの低下につながってるかというと、
- 約35センチの箱の上に100回ジャンプで飛び乗るのと同じぐらいの疲労感
なんだそうな。これは結構ビビるレベルじゃないでしょうか。
といったところで本題なんですけど、近ごろ「精神疲労に立ち向かうにはどうすればいいの?」みたいなレビューが出てて、これがかなーり参考になりました(3)。
精神疲労はなぜ起きるのか?
これはキャンベラ大学が行ったレビューで、過去に行われた精神疲労と運動パフォーマンス(おもに持久系のエクササイズ)に関するデータをまとめたものです。第一に、そもそも「精神疲労ってなんで起きるの?」って問題から紹介しますと、
- 頭を使う作業をすると脳内でブドウ糖が燃える
- これがアデノシンの分泌を促進する
- アデノシンがドーパミンの分泌をブロックする
- モチベーションが下がる!
といった流れです。アデノシンは当ブログではおなじみの「疲労物質」で、適度にモチベーションを落として人体を休ませる働きを持ってたりします。ずーっと頭を使ってると疲労物質がたまっていっちゃうわけですな。
精神疲労に立ち向かう4つの戦略
ってことで、精神疲労をどうにかするにはアデノシンをどうにかするしかないんですけど、ここで取れる対策は4つあるとのこと。具体的には、
- カフェイン投下:これは当ブログをお読みの方には常識ですね。カフェインは一時的にアデノシンをブロックする働きがあるんですが、いっぽうでは使いすぎると耐性ができてしまい、逆に疲労感が増してしまう諸刃の剣だったりします。効き目には個人差もあるんで、うまく使いこなすのは意外と難しいかも。
- そもそも本番の前に頭を使わない:これは当然ですな。とりあえず大事なことの前にはぼーっと瞑想でもしてアデノシンの増加を抑えちゃう作戦であります。
- 逆に激しい運動をする:これがちょっとおもしろくて、どうもスプリントぐらい負荷が高い運動であればアデノシンの増加を一時的にやり過ごすことができるんだそうな。研究によれば、ジョギングレベルの運動だと精神疲労には勝てないんで、バーピーやHIITのような運動を試すのがオススメ。「精神疲労に襲われたら猛ダッシュ!」と覚えとくといいかも。
- 普段から小さな精神疲労を味わっておく:こちらは日ごろの心がけみたいな話で、なんでも日常的に細かく精神疲労を味わっておけば、頭脳がどんどんアデノシンに強くなっていくみたいなんですよ。筋トレと同じで、使えば使うほど脳も疲れにくくなってくわけですね。なので、1日に1回は「徹底的に頭脳を追い込む時間」みたいなのを持っておくといいかも。それは認知パズルみたいなものでもいいですし、普通に勉強で難問を解いてみるのもありでしょう。
って感じでして、とりあえず日ごろから「頭脳を酷使する時間帯」みたいなのは設定して脳をアデノシンプルーフに変えつつ、それでも精神疲労を超えねばならい場面があったら激しい運動をしてみるといいかも。